冷えと温活

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冷えやすい身体の正体

「体の冷え」という目線で現代人のライフスタイルを見直してみると、冷房をかけた部屋で長時間過ごしたり、季節を問わず薄着だったり、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎるなど、とにかく体を冷やす行為が目立ちます。

みなさんも、冬場に暖房のきいた部屋でビールを飲み、コートの下はTシャツ1枚だったり、靴下をはかずに素足で過ごしたりなど、体を冷やす選択をしていませんか?

また、肉体労働が減って体を動かさなくなったことも体温を下げ、体を冷えやすくしている原因のひとつです。

実際に、昭和40年代の日本人の起床時の平均体温が36.7度だったのに対し、現在の平均体温は36度を下回っています。

そうした体温の低下が、総じて現代人を寒さに弱い体質に変えているのでしょう。

もちろん、寒冷刺激を受けたときに寒さを感じる程度には個人差があり、寒がりかどうかもその人の血流と体温で決まります。

その血流と体温を調整しているのが自律神経です

暑いと、熱を放散するために副交感神経が血管を拡張して血流をよくします。

寒いと、生命維持に大切な内臓の循環血液量を確保するために交感神経が手足の血管を収縮させます。

そのために手足が冷えてくるのです。

だから、ストレスや疲れで自律神経のバランスが崩れると、体温調節がうまくいかなくなり、どんどん冷えやすい身体に変わってしまいます。

もはや「冷え性になるのは女性」という固定観念は古く、男性にも冷え性の人が急増しているのです。

しかも男性は、女性と比べると体が冷えることに対して無防備な面があります。

人間の体とは不思議なもので、体が冷えて体温が低下すると、快適と感じる体感温度の範囲が狭くなり、さらにそのレベルが下がるために冷えているのに暑がり、薄着になる傾向が強くなります。

冷え性の男性はとくにこの傾向がみられるため、将来的には男性が女性の冷え性を追い抜く可能性も十分あるわけです。

そして、今や子供の冷え性も心配される時代です。

子供のときは一生のうちで熱産生量が最も多い時期で、本来ならば冷えとは無縁のはず。

しかし、そんな子供でさえも運動不足で熱産生量が少なくなり、偏食や夜更かしで自律神経のバランスを崩してしまい、体が冷えやすくなっています。

「子供は風の子」とかつては言われていましたが、今は「子供は冷えの子」になっているのかもしれません。

現代では原因不明の強度の疲労が長時間続く慢性疲労症候群で病院を受診する子供も少なくありません。

そうした慢性疲労症候群のお子さんは体が冷えていることが多く、湯たんぽや重ね着をして体を温めるようにすると症状がよくなります。

低体温も改善して、見違えるほどに顔に生気が出て、疲労感や倦怠感がとれていくのです。

ショウガ紅茶を飲んだり、体が温まる入浴剤を使用したり、蒸しタオルで目を温めたり、防寒下着や湯たんぽなどで積極的に寒さから身を守る「温活」を心がけましょう。

「気持ちいい」という感覚が心身を強める

「温活」のひとつでおすすめな蒸しタオルで目を温める方法が、なぜあんなに気持ちいいのでしょうか。

同じ顔のパーツでも、おでこや唇、頬を温めても、あそこまでじんわりと温まる気持ち良さを感じる事はできません。

その理由に、上瞼を上げ下げする筋肉の上眼瞼挙筋があります。

この筋肉こそが副交感神経を刺激するスイッチなのです。

そもそも目を使いすぎると、この筋肉が疲れて交感神経がたちまち優位になります

目が疲れたときに上眼瞼挙筋を温めると、交感神経が優位な状態から副交感神経が優位な状態へとスイッチが切り替わるのです。

副交感神経は血流をよくする神経ですから、副交感神経にスイッチが入ると目の周辺の血流が一気に改善するだけでなく、全身の血流がよくなります。

また、目だけに限らず、体を温めると脳の血流もよくなるのです。

そして脳の血流がよくなることで、脳内には幸せを感じるホルモンのエンドルフィンが増えて、爽快感と共に幸福感が増します。

湯船に浸かった時に「あ~」とでるため息も、温まって血流が良くなったことで、エンドルフィンが増えるからなのです。

「気持ちいい」「心地いい」という感覚を繰り返し体験することは、ストレスの軽減にもなります。

ストレスが減ると交感神経の緊張が取れていき、副交感神経が優位になってリラックスもできます。

これが「癒しの効果」です。

特に女性は、心身が癒されたあとに「強くなれた」と感じる事が多いようです。

これも癒されたことで副交感神経が優位になったからこその実感かもしれません。

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