自律神経のコントロールは人生のコントロール
自律神経のバランスを整えて免疫力アップ
生き方上手とか、老い方上手とか、はたまた死に方上手といった、いわば「人生の養生法を説く言葉」をよく耳にします。
少なくとも、上手に生き、老いるためには健康でなければいけません。
そして健康を維持するためには、自律神経を上手にコントロールすることが必要不可欠です。
長い人生の中で、自律神経も変化していき、年齢と共に働きが低下することがわかっています。
また、自律神経には朝と晩とで働きを変える「日内変動」、季節で働きを変える「年内変動」、加齢に伴い働きを変える「生涯変動」など、さまざまな変動があります。
生活習慣が乱れたり、ストレスが強くて自律神経のコントロールが下手になると、こうした変動に自律神経自身がついていけなくなるのです。
日内変動についていけないと、朝と夜のメリハリがなくなって活動が鈍り、年内変動についていけなくなると季節の変わり目に体調を崩しやすくなります。
そして、日内変動や年内変動についていけない状態を繰り返すなかで、生涯変動にもついていけなくなることが考えられます。
最終的には、生涯変動についていけなくなると進学や就職、結婚や出産、退職や子供の独立など、人生の転換期を迎えたときに体調を崩しやすく、厄年などの年齢の節目で病気になる確率が高くなるでしょう。
そういう意味でも、自律神経を上手にコントロールすることは、人生をコントロールすることでもあり、人生を生きやすくするための秘訣といえそうです。
自律神経はすべての生理現象に関わっている
「自律神経」という名前くらい知っていても、この神経が実際どんな働きをしているのかを知らない人のほうが多いかもしれません。
また、「自律神経失調症なら知っている」という人もいるはずです。
ちなみに、自律神経失調症とは、心身にさまざまな自覚症状があるにも関わらず、検査をしても異常が見つからない時につけられる診断名です。
自律神経はそもそも体の神経系というシステムに属します。
大まかにいえば、神経系には脳や脊髄の「中枢神経」と、そこから枝分かれして各器官につながる「末梢神経」の2つがあって、末梢神経はさらに知覚神経、運動神経、自律神経に分かれます。
このうち、知覚神経と運動神経は脳が指令を出し、自分の意志で動かすことができますが、自律神経だけは自分の意志では動かせない神経です。
別の言い方をすると、脳が命令しなくても「必要に応じて勝手に動ける」神経なのです。
そのため、脳の指令を待たずに動ける自律神経はリアルタイムで体のありとあらゆる生理現象に関わっています。
つまり、私たちの命は、この自律神経が体温、血圧、脈拍、呼吸、血流など、さまざまな生理現象を片時も休まずにちみつにコントロールしてくれるおかげで維持されているのです。
息を吸ったら地祇は自動的に吐きます、そうした呼吸も意識のない睡眠中にも止まることがないのも、自律神経が就寝中も働いてくれているおかげなのです。
「呼吸のリズム」をはじめ、日の出と共に起きて、暗くなると眠る「睡眠のリズム」、排泄物がたまると便意や尿意でトイレに行きたくなる「排泄のリズム」など、体のリズムはすべて自律神経によって刻まれています。
また、自律神経は60兆にも及ぶ細胞の働きを調整するために、全身にくまなく張りめぐらされ、臓器や組織の異常に素早く対応しているのです。
自律神経の働きは身体活動だけにとどまらず、不安や悲しみ、安心感や喜びといった感情にも深く関わっています。
落ち込んだ時に体が冷えたり、寒く感じる事があります。
緊張すると胃が痛くなり、心配事があると食事がのどを通らなくなるでしょう。
こうした心の状態や感情の変化に体が過敏に反応するのも、すべて自律神経に働きによるものなのです。