立つ・座る・寝るの理想の姿勢とは
目次
自分に楽な姿勢が実は危険な姿勢!?
みなさんの中には「姿勢に注意しよう」という意識をもっているのに、「気づいたら前傾姿勢になってしまっている」という方も多いのではないでしょうか。
なぜこうなってしまうのでしょうか?
これは私たちが無意識に「楽な姿勢」をとってしまうためです。
ここでいう楽な姿勢とは、使いすぎて疲れた筋肉や、疲れやすい筋肉を休ませる姿勢の事。
例えば長時間デスクワークをすれば、正しい姿勢でも背中や腰の筋肉は疲労します。
すると次第に背中を丸くしたり、椅子に浅く腰かけてもたれたりして、背中や腰の緊張を解こうとします。
つまり、ある特定の筋肉を楽にする姿勢をとることで、心地よさを感じているのです。
ただ問題なのが、「気持ちいい姿勢が必ずしもよい姿勢ではない」ということです。
むしろ感覚に頼った楽な姿勢はほぼ悪い姿勢で、そのしわ寄せを受ける筋肉や関節が必ず出てきます。
「楽な姿勢は危険な姿勢」という意識をもつといいでしょう。
最近では前かがみの姿勢(ストレートネック)から頭痛になる方が非常に増えています。
ストレートネックについて詳しく知りたい方はこちら⇒
理想の姿勢は「7割後ろ体重」
肩や首にやさしい生活習慣、正しい姿勢を定着させるノウハウを様々な視点から紹介していきます。
まず初めに紹介したいのが、首や肩に負担をかけない「正しい姿勢」のとり方です。
上体の不調の多くは「前かがみ」などの悪い姿勢が元凶です。
これを矯正し、セルフケアを有効にするためにも、日常の姿勢を見直す必要があります。
「立つ」「座る」「寝る」の体制別に、体への負担が少ない姿勢を紹介していきます。
その基本となるのが「立ち姿勢」です。
私たちの背骨は緩やかなS字状のカーブを描いています。
この形状によって、関節や筋肉にかかる体重や重力の荷重、地面からの衝撃などを分散させているわけです。
背骨の動きを有効にするには、背骨の真上に頭をのせる必要があります。
そのためには、いつもの姿勢から頭を5センチほど後ろへ引き、体重の7割をうしろへかけます。
「こんなに後ろ?」と驚くかもしれませんが、背骨は体の最も後ろにあります。
「後傾しているな」と感じるくらいの立ち姿が実はちょうどいいのです。
よい姿勢は後ろ重心
多くの方の立ち姿は、頭が背骨の真上にのっていません。
頭を5センチほど後方へ引き、体重の約7割を後ろへかける意識づけをしましょう。
立つ
頭を背骨の真上にのせる意識で後ろへ5センチほど引き、体重のほぼ7割を後ろへかけた姿勢が理想的な立ち姿勢となります。
歩く
よい立ち姿勢を歩き方でもそのまま継続します。
視線はまっすぐ前へ向け、ひじを引いて体をねじり、重心がやや後ろへくるように意識して歩きましょう。
首・肩の痛みを引き起こさない椅子の座り方・選び方
立ち姿勢と同じように、椅子に腰かける姿勢を少し見直すだけで、首や肩への負担を軽減できます。
椅子の座り方で大切なことは、骨盤を立て、背骨のS字状カーブを保つことです。
座った時に骨盤が傾くと、腰痛などの原因となります。
また、悪い姿勢や猫背で背骨の形状が変化すると、首や肩のこり、痛みを誘発します。
こうしたマイナス要因が排除できる、理想な座り方は次の通りです。
〇深く腰かけて背筋をのばし、骨盤を立てた状態を維持する。
〇足の裏全体を床につけ、股関節、ひざ関節、足首の関節が、90度~100度に曲がった状態を保つ。
背骨と骨盤を本来の状態で保ち、下半身の主要な関節をストレスフリーにすれば、全身のバランスが整って、「背中・腰・ひざ」などに痛みが現れにくくなります。
この姿勢は椅子を選ぶとき、調整するときの基準にもなります。
座面が高すぎると足全体が床につかず、低いと股関節やひざ関節の角度がきつくなり、前かがみにもなりがちです。
椅子に姿勢を合わせるのではなく、正しい姿勢を維持できる椅子を選ぶようにしましょう。
座るときは上半身を支えることを意識する
足の裏全体を床につけて座り、背もたれの下部にお尻と腰を当てて上半身を安定させます。
こうすると骨盤が立ち、背筋も伸びます。
- あごを引き、目線はまっすぐ前へ
- 腰とお尻を背もたれの下部につけて、上体を安定させる
- 股関節、ひざ、足首の曲がった角度を90~100度を目安に保つ
椅子選びのポイント
座面
足全体が床につき、股関節とひざ、足首の角度が90~100度になる高さにする。
素材は適度に柔らかい物がベスト。
背もたれ
座面と90度に近い角度がキープできるものを選ぶようにする。
リクライニング機能はなくてもよい。
ひじかけ
パソコン作業の多い人などにおすすめ。
腕をひじかけに置くことで、腕やひじへかかる負担が軽くなる。
座椅子はあり?なし?床への正しい座り方
プライベートな空間では、座布団に横座りしたり、座椅子であぐらをかいたりして、床で座って過ごす人もいるでしょう。
しかし、椅子に座るときに比べて、床で座る姿勢は「背中が丸くなりやすい」ところに問題があります。
日常的に同じ姿勢を繰り返せば、猫背がどんどんひどくなり、肩のコリや首の痛みに悩まされます。
さらに、背中の丸まった状態は骨盤を後傾させるため、骨盤の一部の仙腸関節の動きを悪くします。
それが腰椎へ過剰な負担をかければ、やがて腰の痛みからひざ痛になるまで連鎖することも。
このように和式の座る習慣は、様式のそれと比べると、体に負担をかけやすいといえます。
ただ、ライフスタイルは人それぞれです。
床で座る生活を続けるのであれば、「背筋を伸ばし、骨盤を立てる」意識を持ってください。
つまり、椅子に座るときと同じ体制を床でもとるということです。
座椅子ならば、腰と背もたれの間にクッションを挟むことで背骨が伸び、骨盤の立った状態をキープすることができます。
壁を背もたれの代わりにして、座布団の上であぐらと正座を繰り返すのも、椅子での正しい座位に近い状態です。
いつもの座り方を見直してみてください。
和式の生活は腰に大きな負担がかかる
床に座ることが多い和式の生活は、骨盤の傾きや猫背になる場面が多い。
〇座椅子は背もたれが後ろに傾いている製品が多く、背骨の後傾が心配。
〇座椅子はやわらかく、お尻が沈んで骨盤が後ろへ傾きやすい
体育座り
骨盤の仙骨が不自然に倒れた状態になり、その影響で仙腸関節が不調をきたすと腰痛などの症状がでることも。
あぐら
骨盤が後ろへ倒れ、前かがみの姿勢と同様の負担が腰にかかる。
壁に背中を当てて支えると姿勢よく座れる。
横座り
女性に多い座り方。
骨盤が横に傾き、重心が左右に崩れるので、背骨のゆがみを引き起こしやすい。
寝具は少し硬めを選び、枕をしないで仰向けに寝る
活動しているときと同じように、睡眠中にも首や肩に負担をかけない姿勢があります。
その姿勢というのが、仰向けで足を肩幅程度に開き、両腕を広げて、手のひらを上に向けた「大の字」の状態です。
大の字の姿勢をとることで、関節や筋肉、全身の骨格の配列などが「本来のあるべき状態」になるため、体に最も負担のかからない楽な姿勢を実現することができます。
さらに、背骨本来のカーブを取り戻す「ソフトな矯正作用」も期待できるので寝ているうちに自然と体が整うわけです。
この理想的な睡眠姿勢をより効果的にするには、寝具にも配慮しましょう。
マットレスや敷布団は少し硬めのものを選びます。
やわらかい布団は体が沈み、背中が曲がりがちになるので、よい姿勢が崩れるからです。
ちなみに枕は基本的に使わない方がよいでしょう。
高さのある枕をすると頸椎が前へ押し出され、肩や首が緊張して、ハリやコリの原因になるためです。
ただし、枕のない状態で寝返りをすると、肩幅の分だけ首が曲がり、頸椎に負担をかけます。
それを防ぐために、顔の両脇に方と同じくらいの高さを置いておきましょう。
今夜から「大の字」になって寝てみませんか?
「大の字」になって寝るのが理想的
両腕、両足を開いた仰向けの姿勢、いわゆる「大の字」の姿は、全身の骨格や関節、筋肉に負担をかけない理想的な寝姿です。
寝返り
寝返りは就寝中にも全身の関節や筋肉を使う、体にとってプラスの動作です。
同じ側の筋肉ばかりに体重をかけないことでも好都合です。
姿勢
仰向けに「大の字」で寝ると、体への負担がほとんどない状態。
両足は肩幅程度に開き、両腕を左右に広げて手のひらを上に向ける。
布団
少し硬めのマットレスや敷布団を使う。
やわらかい布団は体が沈んで、背中が丸まった姿勢になりやすく頸椎に負担をかけるのでNG。
枕
枕を使わず、首と肩を緊張から解放する。
寝返りをした時のため、顔の左右の脇に、肩の高さほどの枕を置いておくとよい。
自分の体は硬くなりすぎて、よい姿勢がキープするのがツライ!という方はご相談ください⇒