「食いしばり」で乱れる自律神経

人間の歯の力、つまり噛む力は、生きる上でとても大切です。
通常、噛むという行為は食事の時にしか行わないものですが、精神的なストレスがあると、無意識のうちに「歯を食いしばる」という習性が人にはあります。

「食いしばり」と自律神経の関係
歯を食いしばると顔の前方に強い力がかかるので、頭部が前に出やすくなり、前に出た頭を支えるために首・肩・背中にも負担がかかるうえ、姿勢が悪くなります。
歯科医に話を聞くと、精神的なストレスがなくても、噛み合わせが悪い人は上下の歯が当たった時点で食いしばりが始まる人がいるということです。
また、食いしばりクセがついている人は自律神経もより乱れているというデータのあるようです。
ちなみに噛み合わせが影響して食いしばりが起きている場合は、根本的に歯列矯正をしてみたら自律神経の乱れがよくなったという例もあります。
食いしばりを放置すると、自律神経の乱れが慢性化するばかりか、頭痛や首・肩こりの原因になります。
また、顎関節症を発症する場合があります。
顎関節症になると、口を開こうとすると顎関節やあごを動かしている筋肉が痛む、口を大きく開けられない、口の開け閉めであごの関節から音がするなどの症状が現れます。
食事自体が苦痛です。
痛みは自律神経の乱れにも拍車をかけます。
下のチェックリストを試し、そのような症状がでる前に、早めに対策をした方がいいでしょう。

食いしばりチェックリスト
以下のチェックリストで、どれかひとつでも当てはまれば「食いしばり」をしている可能性があります。
☑起きた時に口からあごにかけてこわばっている感じがする。もしくはだるい。
☑歯にヒビが入っていたり、欠けたりしている。
☑口を閉じると、上下奥歯がくっつく。
☑仕事などで集中しているときに、無意識に歯を噛みしめてしまう。
☑ほほの内側に、噛んだあとや、舌に歯型が残っていることがある。
☑いつも肩こりがする。
☑しょっちゅう頭痛がおきる。
☑耳の下からあごにかけて、コリを感じる。(触ると緊張している)
☑冷たい物を食べると染みる。
どれか1つでも当てはまるようでしたら、セルフメンテナンスをしましょう。
セルフメンテナンス方法
歯は人間の消化活動において始まりの部分なので、栄養摂取や胃腸の活動にも影響します。
また、自律神経の始点となる脳の視床下部とあごはとても近いところにあります、
そういうことからも、あごまわりの異常と自律神経の乱れは直結です。
自律神経の乱れを診察するときにも必ず触るのがあごの筋肉です。
その時、筋肉の状態に左右差があれば、左右どちらかにかたよって片頭痛がある、肩こりがあるなどの症状がでていると予想もできます。
あごの状態に左右差があると、片側だけに顎関節症があったり、噛んだ時にクリック音があったりということもあります。
食いしばりは無意識に行っていることが多いので、日中なら意識して気をつけることで避けることができます。
しかし、夜間の食いしばりはコントロールのしようがありません。
就寝中は無意識なので、余計にぐっと食いしばってしまいます。
その場合、まずは枕を見直してください。枕が高いと首が傾いて上下の歯が当たり、食いしばりが起きます。
理想は首枕、肩枕くらいで、首に軽く添うくらいのものがいいようです。
さらに起床後や気づいた時にマッサージがおススメです。
マッサージだけで、顔の緊張も緩みます。
食いしばりには「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを使う対処療法もありますが、効果には個人差があります。
合わない人にとってはマウスピースが刺激となって唾液が出すぎてしまい、睡眠の質が下がる場合もあるようです。
「食いしばり」からくる自律神経の乱れが気になる方へ⇒
あごの筋肉をゆるめるセルフマッサージ
あごの付け根あたりに手をあてる。
その状態で奥歯を強く噛み、膨らんだ場所に手のひらを置く。
あごの力を抜き、円を描くように、ゆっくりと手のひらを3回ほどくるくると回す。
力は入れず、優しく行う。
