睡眠不足による損失

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睡眠不足による損失

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睡眠不足による経済的損失

食事や運動を意識し、健康的な体調管理に気を配る人は少なくありません。

しかし、運動や食事にくわえて、超一流と言われるトップアスリートや世界のエグゼクティブがこぞって意識しているのが睡眠です。

超一流と呼ばれる人ほど意識が高く、快適な睡眠を得るために気を配ってパフォーマンスの向上に繋げています。

一方、「睡眠なんてただの休息。少しくらい寝なくても平気!」と考える人も社会には一定数存在します。

「全然寝てなくてさ・・」などと寝ていない自慢をする人がいますが、寝ていないことは自慢できることではありません。

日本において、「睡眠が正しく管理されていないことによる経済損失は年間15兆円」という試算もあります。

睡眠不足は産業事故をはじめ、社会全体で大きな損失を生むのです。

睡眠は仕事のパフォーマンスや、日常生活の質に影響します。

「超一流」の姿勢に学び、睡眠について理解することから始めましょう。

経済損失につながる理由

・就業中のパフォーマンスが下がり、生産効率が落ちる

・ミスやトラブルが増え、大事故の原因になる

・生活習慣や精神疾患、がん、認知症の発症リスクが上がる

寝すぎても健康リスクは高まる

睡眠不足の蓄積が、がんや生活習慣病の発症リスクを高めること、仕事や生活のパフォーマンスを低下させることは様々な研究によって明らかです。

では9時間、10時間と平均より多く寝ている場合はどうなのでしょうか。

睡眠時間は短いばかりが問題視されがちですが、実は長すぎても健康に支障をきたすという研究報告も出ています。

2002年にサンティアゴ大学の行った研究では、短時間睡眠(3~4時間)の人だけでなく、長時間睡眠(9~10時間)の人も、平均値の7.5時間睡眠の人たちに比べて死亡率がおよそ1.3倍も高かったのです。

長く寝すぎると、体内時計のリズムが乱れ、かえって疲れやすさや頭痛といった不調を引き起こしてしまうのです。

とくに一晩に9時間以上寝る人は、活動量の低下を招き、結果として肥満や脳卒中、心臓病などのリスクが高まる事がわかっています。

睡眠は長さよりも質を高めていくことが大切です。

訓練したらショートスリーパーになれる?

まれに短時間睡眠でも、体はいたって健康で生活への支障も一切現れない人がいます。

そのような人は一般的に「ショートスリーパー」と呼ばれます。

ナポレオンやエジソンも1日3~4時間睡眠だった話は有名です。

ショートスリーパーに憧れる人も少なくありません。

しかし、ショートスリーパーはトレーニングをしてなれるものではありません。

スタンフォード大学の研究では、ショートスリーパーは遺伝子によって決まる、生まれながらの特異体質のようなものだとわかっています。

こういったタイプの遺伝子をもつ人は、全体の1%未満程度とも言われています。

本物のショートスリーパーはかなり珍しいとも言えます。

一方、アインシュタインは10時間以上寝るロングスリーパーで、こちらは全体の3~9%と言われています。

ショートスリーパーの特徴

・睡眠不足(7時間以下睡眠)による免疫力低下や疾患リスクの上昇はあてはまらない

・楽観的で、エネルギッシュで、マルチタスクに向いている傾向がある

・痛みに強い、時差ボケにあまり影響されないとの指摘もある

睡眠不足は寝だめで解消できない

睡眠不足が蓄積されて慢性化している状態を「睡眠負債」と表現します。

睡眠負債がたまると、脳や体にダメージを与える危険因子が蓄積されていくだけでなく、眠りたい欲求(睡眠圧)も強くなっていきます。

平日の睡眠不足を「休日に寝だめして解消する」という人がいますが、これは、たまりにたまった負債のほんの一部を返済しているにすぎません。

つまり自覚はなくても睡眠負債を抱えて生活していたと考えられるのです。

また反対に睡眠負債が解消されると、寝てもよいと言われても、体が必要とする睡眠時間以上には眠れない、つまり「睡眠預金」もできないことも明らかになっています。

睡眠不足の運転は飲酒運転より危険

睡眠負債を抱えた状態での運転は、アルコールや薬物摂取時の運転と同じくらい危険です。

睡眠負債を抱えているときの判断力やパフォーマンスの低下は明らかです。

成城に活動しているように見えたり、本人の自覚がなかったりするぶん、むしろ飲酒運転より危険かもしれません。

夜勤明けの医師は、本人も認識してないほど瞬間的な居眠り(マイクロスリープ)をしていることも調査でわかっています。

マイクロスリープとは、脳波から読み取ることが出来る眠りの状態で、1秒たらずの瞬間的なものもあれば、10秒程度続くこともあります。

たいていはほんの一瞬の短い眠りであるために、本人も気が付かない場合が多くあります。

これがマイクロスリープの怖さです。

時速60㎞で車を運転しているとすれば、4秒眠っている間に70m近くも進んでしまいます。