なぜ年をとると早寝早起きになるの?

なぜ年配者は朝が早い?
高齢者は早寝早起きになりがちです。
若い頃に比べ、睡眠が浅くなる傾向があるのです。
これは、加齢とともに体内時計が変化していることが大きく影響しています。
体温やホルモン分泌など、睡眠にかかわる生体機能のリズムが前倒し、つまり早い方にずれてくるのです。
さらに、睡眠周期をコントロールするメラトニンというホルモンの分泌量が減少し、就寝時の深部体温の下がり方も弱まります。
実際に、高齢になると深いノンレム睡眠は短く、浅いレム睡眠は長い睡眠パターンになります。
そのため、尿意や小さな物音でも目を覚ましやすくなります。
夜中に何度も起きてしまい、朝までぐっすり眠ることが難しくなるのです。
高齢者は日中の活動量が減るから、短時間睡眠でも十分とよくいわれますが、そんなことはありません。
短時間睡眠で昼寝の習慣のない人ほど、認知症の発症リスクが高い調査結果が出ています。
夜に長く眠れない場合は、昼寝をして睡眠時間を確保した方がよいのです。
また、ノンレム睡眠の時間が減ると、骨密度を増やす成長ホルモンの分泌も減り、骨がもろく、折れやすくなってしまいます。
骨が弱くなるのは典型的な老化現象のひとつですが、眠る事で維持改善が図れるともいえるのです。

理想の「睡眠パターン」を知ろう!
夜になるにつれて、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌が少しずつ増えると、体温、血圧、脈拍が下がり、自然と眠くなってきます。
くわえて、起きてから約14~16時間も経っていれば、睡眠圧(眠りたい欲求)も十分高まっているので、多くの人は通常、ベッドに入って目を閉じて、10分程度で入眠します。
入眠後は段階的に眠りが深くなり、最初の深いノンレム睡眠にたどり着きます。
このとき、ゆっくりと大きな波形の脳波がみられることから徐波睡眠とも呼ばれます。
ノンレム睡眠の深さは4段階に分けられ、この最初のノンレム睡眠はもっとも深く、ある程度長く続きます。
ノンレム睡眠のあとにくるのがレム睡眠です。
脳は覚醒時と同じくらい働きますが、体は眠っているので、筋肉は弛緩し、ほとんど動かず眠ります。
その後一定の周期でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返し、朝を迎えます。
正常な睡眠パターンの場合、ノンレム睡眠は次第に浅く、レム睡眠は徐々に長くなります。
明け方に向けて、覚醒作用のあるホルモンのコルチゾールの分泌が増えて、体温、血圧、脈拍が上がると、体も起きる準備が整っていきます。
こういった健康な睡眠パターンで眠れているときは、自然に起きられるしくみなのです。

一番大切な睡眠は入眠から最初の90分
質のよい睡眠を目指すうえで、もっとも意識して欲しいのが、入眠後、最初に現れるノンレム睡眠です。
寝始めのノンレム睡眠は、睡眠周期のほとんどを占め、およそ90分続きます。
ここでしっかり眠れると、その後の睡眠の質もよい状態になります。
入眠後、眠りが徐々に深くなることで、交感神経優位から副交感神経優位な状態へ切り替わり、脳も体もリラックスします。
自律神経が整うと、ホルモンバランスもよくなります。
なかでも、人の成長にかかわる成長ホルモン(グロースホルモン)は、最初のノンレム睡眠時に全体量の70~80%が分泌されます。
しかし、最初の90分で質のよりノンレム睡眠が現れないと、ホルモンの分泌量を大きく減らしてしまいます。
また、入眠時に高まっていた睡眠圧(眠りたい欲求)が、最初のノンレム睡眠で放出されることで、その後の睡眠パターンが整います。
ノンレム睡眠は、一晩で4~5回繰り返されますが、2回目以降のノンレム睡眠が1回目より深くなることはありません。
つまり、最初の90分が浅く短い不十分なノンレム睡眠だと、その後の睡眠にも悪影響を与え、どれだけ長く眠っても目覚めが悪くなってしまうのです。