第一印象の好き嫌いで強いバイアスがかかる

はじめに
頭痛について勉強しているうちに、脳にも興味が湧いてきました。
脳の特性を知ることで、頭痛の改善に役立つことも多々あるような気がします。
人が本来もっている本能や脳の癖を知ることで、毎日を快適に生きるヒントが見つかれば嬉しいです。
脳には「自己保存」と「統一・一貫性」というクセがある
この「自己保存」と「統一・一貫性」のクセがときに自分を守ろうと過剰反応を起こしがちです。
最近でも話題になりましたが、企業の謝罪会見などで真摯にわびるどころか弁解に終始し、さらには会見前より印象を悪くするなんてことを見ていて不思議に思ったことはないですか?企業のトップともあろう人がおかしな言動を見せるのは「立場を捨てたくない」という「自己保存」のクセが過剰に反応している例といえます。
「自己保存」が過剰に反応すると、身を滅ぼしかねません。
また、どう考えても間違っていることが、組織内で多数派によって正しいとされると、いつのまにか組織全体が「正しいのだ」と思い込んで暴走することがあります。
物事が正しいかどうかより、数が多い方に揃えたいという脳の「統一・一貫性」のクセに基づいてしまっているのです。
「自己保存」や「統一・一貫性」にとらわれすぎると、そもそも脳が情報を取り込むことを避けたり、バイアスがかかったりし、正しい理解や深い思考を妨げます。
その結果、誤った判断や言動を引き起こすことになってしまうのです。
マイナスの感情はもつな!
人間の目や耳から入った情報は神経回路を通りますが、脳内で考える仕組みが働く前に、まずは「好き」「嫌い」「感動した」などのレッテルが付加されます。
その後、脳が「理解」したり「思考」したりします。
この好き嫌いの「感情」がさきに付加されることで、その後のパフォーマンスが左右されます。
マイナスのレッテルをはられた情報は、しっかり理解できず、思考は深まらず、記憶もしにくくなってしまいます。

英語が苦手、数字が嫌いなど、一度マイナスなイメージがつくと脳は「嫌い」というレッテルが貼られているので、脳はその情報に関して積極的に動かなくなります。
脳の理解力や思考力、記憶力を高めるには、まず「おもしろい」「好きだ」というレッテルをはらなければなりません。
「好きになる力」を養うことは、そのまま「頭をよくすること」でもあるといえます。
先生を嫌うと成績が下がる
子供の頃、嫌いな先生が教える科目は成績が伸びなかったという経験はありませんか?
先生や上司が嫌いだと「嫌いだ」というレッテルをはります。
「先生が嫌い」「上司が嫌い」などと人を嫌悪するのは、大切な情報にマイナスのレッテルをはってしまう習慣なのです。
そもそもなぜ人はなぜ他人を嫌いになるのでしょうか?
その理由は【脳の3つのクセ】で紹介した「自己保存」と「統一・一貫性」にあります。
「統一・一貫性」という脳のクセから、人間は整ったものやバランスのよい物を好む傾向があります。
顔やスタイル、話し方などが自分の基準と大きくずれていると、それだけで拒絶したくなります。
また、自分と反対の意見を言う人を嫌いになるのも脳のクセです。
「統一・一貫性」のクセから、自分と違う意見は受け入れにくく、また「自己保存」が働くことで「嫌いだから避けよう」となるのです。
こうしたクセを抑えるには、まず「こういう人は苦手、嫌い」といった先入観を取り払うよう、意識することが大切です。
常に「人柄を知っていいところを見つけよう」という姿勢をもち、最初から「きっと好感をもてるだろう」と考えて話を聞くことが、脳にとっていい結果をもたらします。