水不足にならないために、どのくらい飲めばいいの?
目次
はじめに
皆さんは最近、水を美味しく感じますか?
私の経験からして、体調の悪い時は水を美味しく感じません。
また、お茶などは飲むけれど味のしない水は苦手という方や、一日の水分はほとんどコーヒーなんて方もいます。
仕事柄、頭痛患者さんとお話しすることが多いですが、ほとんどの方が水分不足です。
昨今ではミネラルウォーターが普及して、以前よりは水に関心を持つ方が増えたような感じもしますが、実は一番身近な水について、私たちはあまり詳しくないように思いました。
今回はそんな「水」について何回かのシリーズに分けてお届けしたいと思います。
自身に水が足りているのか?体の中の水のめぐりは良いのか?確認したい方はこちら⇒
水のすごいパワー
ペットボトルの水が普及して、いまや水を買うことは当たり前になりました。
おいしい水を飲む機会が増え、お気に入りの銘柄があるという人も多いでしょう。
ひとくちに「水」といっても「軟水」と「硬水」では口あたりがまったく違います。
成分もボトリングのされ方もさまざまです。
実は体調に合わせて水を選べば、不調を改善する事も出来るし、水を飲むだけで痩せることも可能なのです。
症状別に水を選び、ベストのタイミングで飲むことで、様々な病気を予防・改善することもできます。
皆さんの健康のためにお役たち頂ければと思います。
病気や不調を招く2大要素
体内の水分が不足したり、めぐりが滞ると、体にはさまざまなサインが現れてきます。
深刻な不調だけでなく、生命を脅かす事にもなりかねません。
水が足りない!
摂取する水分よりも出ていく水分の方が上回ると、体は脱水状態になり、さまざまな症状が現れてきます。死に至る危険性さえあります。
水分減少量がどのくらい起こるとどんな症状が現れるのかまとめてみました。
水分減少量が2%→喉の渇き。
水分減少量が3%→強いのどの渇きを感じ、めまい、吐き気、ぼんやりする。食欲不振。
水分減少量が4%→体温の上昇、皮膚の紅潮、疲労感、脱力感、イライラ、感情の不安定。
水分減少量が6%→頭痛、脈拍・呼吸数の上昇、ふらつき、手足のふるえ
水分減少量が8~10%→厳格、呼吸困難、チアノーゼ(唇や爪が紫色に)、精神錯乱、言語不明瞭
水分減少量が20%以上→無尿、生命の危機、死亡
私たちは、たとえ食べ物がなかったとしても、水さえしっかり飲んでいれば2~3週間は生きていられますが、水を1敵も摂らなければせいぜい4~5日で死に至る危険性がある、と言われています。
体の水分が不足した状態を「脱水」といい、脱水を起こすと体温を調節する汗が出なくなって、体温が上がり、様々な症状が現れます。
体内の水分が「たった2%」減っただけで、のどの渇きを感じます。
たった2%ですが、それだけで体は「水不足」に敏感に反応しているといえます。
さらに6%の水分が失われると、のどの渇きも感じなくなり、体は水分調節の機能を失ってしまいます。
そのまま脱水状態が進んで6~10%もの水分を失うと、危機的状況を迎え、20%以上になると死に至ると報告されています。
水が流れていない!
水のめぐりが悪く、排出がスムーズにできなくなると、体に余分な水分や老廃物がたまり、内臓の動きも悪くなります。
体の水が不足する→脳が「水を外に出すな」と指令を出す→発汗・排尿を減らす→老廃物がたまる→むくみ・不調・病気
私たちの体は毎日2.5ℓもの水分を排出し、失った水分を補給しています。
この入れ替え作業が滞ってしまったら体はどうなるのでしょうか。
前述のように体の水分が数パーセント減っただけでも、内臓の機能は衰え、体の活動が滞ってしまいます。
そのため脳は、体内の水分量に対してとても敏感に素早く反応します。
少しでも体内の水分が減ってくると「水を外に出すな」という指令を出します。
すると体は汗をかかないようにし、排尿の回数も減らして水分をため込もうとします。
その結果、体内に老廃物がたまり、血液循環も悪くなって体や顔がパンパンにむくみます。
いらないものをため込んでいると、内臓の動きも低下して、さまざまな不調や病気を引き起こすのです。
体をめぐる「水」が健康のかなめ
1日2.5ℓの水を排出しています
私たちの体の約半分は水でできています。
その水はずっと体の中にとどまっているわけではありません。
体内を循環し、さまざまな方法で体の外へ出ていきます。
わかりやすいのが尿や便です。
健康な人の尿から1200~1500mlの水分が排出され、便から約100mlの水分が排出されます。
また、知らない間に失われていく水分もあります。
私たちは汗をかくだけでなく、皮膚の表面からも常に蒸発するせいで、約0.5ℓの水分を失っています。
そして呼吸で失われる水分もあります。
息を吐く時に肺から常に水分を出しています。
肺や気道は常に湿っていて、この水分が呼吸によって1日に約0.5ℓも失われています。
つまり私たちの体は、少なくとも1日に約2.5ℓもの水分を排出しているのです。
暑い夏や運動で1時間に1ℓ以上の汗をかく場合もあり、排出される量が増えます。
~入る水2.5ℓ~
〇飲みもの―1ℓ
平均的に水、お茶、コーヒー、ジュースなどの飲み物から摂取する水分量は約1ℓ程度。
意識しないとこれを下回ることもあります。
〇食べ物―1ℓ
味噌汁やスープで摂取する水分に加え、果物、野菜、ごはん、パスタ、肉・魚類などの食品にも意外と多く水分が含まれています。
〇体内で作られる水―0.5ℓ
食べ物を分解してエネルギーに変えるときの化学反応によって水分が生成されます。
これを「代謝水」または「燃焼水」といいます。
めぐりのいい体のためには1.5~2ℓの水が必要
1日に約2.5ℓもの水分を排出しているのですから、失われた分を補わなければ体内はすぐに水分不足になってしまいます。
まず、私たちは毎日の食事から意外と多くの水分を摂っています。
ごはんやパン、サラダ、肉・魚、味噌汁、スープなど、ほとんどの食事や食品には水分が含まれているので、1日3食きちんと食べれば約1ℓの水分を補うことができます。
さらに、体内では、たんぱく質や炭水化物、脂質を燃焼・分解してエネルギーに変えるときに約0.5ℓの水分が作られています。
失われる約2.5ℓからこれらを差し引くと、1日に約1ℓの水分を飲み物で補給すれば、プラスマイナスゼロになります。
しかし、きっちりと計算しながら生活しているわけではないので、汗をかいたり運動すればすぐに水分不足を招くことに。
飲み物からは、1.5ℓ~2ℓの水分を補給することが必要です。
~出る水2.5ℓ~
〇尿や便―1.5ℓ
健康な人の排尿量は、体重1㎏あたり20~25ml。
体重60㎏で1日1200~1500mlです。
便から排出される約100mlを合わせると、約1.5ℓになります。
〇汗・皮膚蒸発―0.5ℓ
暑い時や運動時には体温が上がります。
体は熱を逃がすために汗を出して体温を下げます。
皮膚の表面からも水分が常に蒸発しています。
〇呼気―0.5ℓ
ガラスに息を吹きかけるとガラスが曇ります。
これは呼気に水分が含まれているから。
呼吸と共に常に肺から水分を出しています。
体内の水のめぐり
体内に入った2.5ℓもの水分はいったい体のどこに存在し、どのように流れているのでしょうか?
体内の水のめぐりを解説します。
水→腸で吸収される→各組織に分配される→それぞれの場所で行き来する→尿や便、汗、息から排出される
口から摂取された水は、腸で吸収された後、血液やリンパ液として全身をめぐり、細胞壁や血管壁を通り抜けて、体のさまざまな場所へ分配されます。
体内の水は大きく「細胞内液」と「細胞外液」に分けられます。
細胞内に存在する細胞内液は、体内の水分の3分の2を占めています。
エネルギー産生、たんぱく質の合成、ホルモンの分泌などに関わってきます。
残りの3分の1は細胞外壁です。
体内を循環する血液とリンパ液、細胞と細胞の間に存在する細胞間液、頭蓋骨と脳の間に存在する脳脊髄液があります。
血液量を維持し、栄養素や酸素を細胞へ運搬したり、老廃物や炭酸ガスを肺や腎臓を通して排泄しています。
細胞内液が細胞外液の2倍あるのは、細胞外液減少した時に、細胞内液が細胞の外に移動して補う保管庫の役割を果たしているためです。
浸透圧や心臓のポンプにより移動する
血液は、心臓が収縮・弛緩を繰り返すポンプ作用によって全身をめぐります。
では体内の水分はどうやって移動するのでしょうか。
その一つが「浸透圧」です。
濃度の異なる2つの液体が、水を通して電解質(イオン)を通さない細胞膜などで隔てられると、濃度(浸透圧)の低い方から濃度の高い方へ水分が移動します。
この移動する力が浸透圧です。
細胞内液と細胞外液の濃度が同じであれば細胞内外での移動はありません。
ところが、細胞内液より細胞外液の濃度の方が低いと、細胞外の水分が細胞内に入ります。
逆に、細胞外液の方が高いと細胞内の水分が外に出ていきます。
そのほか、心臓と同じように、ポンプ作用によって押し流す「筋力」、上から下に移動させる「重力」によって体内の水分は私たちの体をめぐっているのです。
〇3分の2は細胞の中へ
体内に存在する水分のうち、3分の2を占める「細胞内液」。
細胞の中に存在し、生命活動を維持するためにエネルギー代謝など重要な働きをしています。
細胞内液が不足すると、細胞外に移動して補います。
〇3分の1は細胞の外へ
・リンパ液
全身を網の目のようにめぐるリンパ管の中を流れる液体。
毛細血管から血管外にしみ出し、80~90%は再び毛細血管に吸収されますが、残りは体にたまった水分や老廃物をリンパ管に運んでいます。
・血管
血液の半分以上は「血しょう」という液体で、その約90%が水分。
ナトリウムイオン、塩化物イオン、たんぱく質などさまざまな成分が溶けていて、この水分にのせて体に必要な栄養素や酸素を運んでいます。
・細胞間液
細胞と細胞の間を「間質」といい、間質を満たしているのが「細胞間液」です。
間質には毛細血管が張り巡らされていて、これを通じて水分や栄養素などのやりとりが行われています。
・脳脊髄液
頭蓋骨と脳の間には「くも膜下腔」というすき間があり、「脳脊髄液」が脳を取り巻くように満たし、常に循環しています。
脳や脊髄に栄養を届け、老廃物を回収するほか、外部の衝撃から守っています。
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