なぜ猫背になってしまうの?
背中猫背とは
背中猫背とは、ざっくりいうと、背中の真ん中あたりが丸まった猫背のこと。
背骨は24個の椎骨が積み重なっており、上から頸椎(7個の椎骨)、胸椎(12個の椎骨)、腰椎(5個の椎骨)と3つの部分に分かれますが、背中猫背の人は、胸椎の部分の湾曲が崩れた状態と考えて下さい。
背中猫背の人は「反り腰」の人が大勢います。
壁を背に立って丸まった背中を壁につけると、腰の反りは強くなるため、背中と壁の間には広いすき間ができます。
反り腰は一見、「いい姿勢」に見えますが、実際は背骨の正常なS字湾曲が失われた状態なので、放置は厳禁です。
では、背中猫背はどのように改善させればいいのでしょうか。
実は背中猫背の人は、背骨を支えている筋肉の「バランスを整える」ことが重要と思われます。
「バランスを整える」というのは、筋肉を単に強化するだけでは不十分ということです。
動作や姿勢の保持にかかわる筋肉には、性質の違いで2タイプあります。
1つは「縮んでこわばって固くなったタイプ」、もう一つは「筋力が低下し、伸びて緩みやすいタイプ」です。
背中猫背の人の多くは、脊柱起立筋(背骨を支えている筋肉)や肩甲挙筋(頸椎と肩甲骨をつなぐ筋肉)などは縮んで固縮しており、おなか側の腹筋(腹直筋)やお尻の大殿筋は伸びてゆるんでいます。
この筋肉のアンバランスが背中を丸まらせて、その姿勢を定着させている重大原因なのです。この筋肉群の関係を真横から見たとき、固縮した筋肉群と、伸びてゆるんだ筋肉群を線で結んだ場合、その線が「X」の文字のように、クロスするのがおわかりいただけますでしょうか。
このアンバランス現象は「クロスシンドローム」と呼ばれ、チェコのリハビリテーション医のウラジミール・ヤンダが提唱した考え方です。
筋肉はファシミアという膜で包まれており、それがつながってラインを形成することで、姿勢を保持しています。
ところが、クロスシンドロームに陥ると、こわばって固くなった筋肉と、伸びて弱まった筋肉が交差するように混在し、ラインが正常に機能せず、猫背など悪い姿勢が定着してしまうわけです。
そこで、筋肉のバランスをとるには、固くなる性質の筋肉はストレッチしてほぐし、伸びてゆるむ性質の筋肉は筋トレをして鍛えることが重要です。
自分は背中猫背なのか確認したい方はこちら⇒
背中猫背の人にオススメな「1分壁押し体操」
この体操は、脊柱起立筋をはじめ、縮んで固くなっている筋肉群を一挙にストレッチできます。
また、腹筋をはじめ伸びてゆるんでいる筋肉群は「窓際スクワット」を行うことで強化でき、筋肉のアンバランスを整える事ができます。
1分壁押し体操と壁際スクワットを行うと、クロスシンドロームが解消し、背中猫背が正される人が大勢います。
是非お試しください。
どんなにいい姿勢を身に着けても、同じ姿勢を続けていたら体調不良を招きます。
というのも、どんなにいい姿勢江も、続けていると筋肉が緊張し、腰や背中を痛める危険があります。
いい姿勢とは、健康的なS字カーブが保たれている状態を言います。
このS字カーブが保たれることによって、頭部の重みや地面からの衝撃が吸収され、負担を減らせるからです。
ところが、この姿勢を何時間も続けていたのではそれはそれで問題です。
みなさんも同じ姿勢でずっとすわっているとどうしても体が疲れてきて、背伸びをしたくなった経験があると思います。
これは体が「このままの姿勢を続けていると血流が滞って、筋肉も緊張するので、体によってよくないですよ」というサインを出しているのです。
特に長時間にわたって椅子に座ったまま仕事に没頭していると、体からのサインすらも見逃してしまう可能性があります。
長時間椅子に座り続けている人は、背骨への悪影響にとどまらず、糖尿病や狭心症、心筋梗塞といった病気のリスクを高めることも報告されています。
そこで30分に1回、3分程度は椅子から立ち上がって、背中を反らしたり、少し歩いたり、足踏みしたりしましょう。
1時間に1回であれば、5分程度は体を動かしてください。
仕事中であれば、トイレはできれば違うフロアのトイレに、階段で上り下りして行く、お茶やコーヒーを自分で入れに行く、背伸びをするといったことが必要です。
丸めたタオルで猫背改善
背骨は24個の椎骨で構成されており、その下には骨盤があります。
実はこの骨盤の傾きが、猫背になるかならないかを左右します。
まずは着席時の骨盤の傾きを調べてみましょう。
普段通りに、椅子に腰かけ、手でお尻のとがった骨(尾骨)を触ってみて下さい。
もしこの尾骨が座面にあたっている場合は、骨盤は後ろに傾いています。
(骨盤後傾といいます)
骨盤が後ろに傾いていると、骨盤と直接つながっている腰椎(背骨の部分)も丸まって、猫背になります。
なぜ、骨盤が後傾した座り方になるのでしょう。
実は猫背で骨盤が後傾した状態で座っている人は、腹筋や背筋がゆるんでいます。
簡単にいうと、筋肉が緩んだ状態は「楽をしている」ということです。
もちろん、着席中ですから、ある程度は楽に感じる事は必要です。
ただし、骨盤の傾向が楽に感じるというのは危険です。
人間の体は、いい姿勢を保っている時こそが負担が少ない状態の為、骨盤を起こした正しい座り方が習慣化すれば、それが一番楽な座り方になるはずです。
そこで、骨盤が傾斜した猫背の人は、着席時に丸めたタオルを座面の後ろ側において、骨盤を起こして座りましょう。
これだけで、自然と骨盤を起こすことができます。
この方法で、腰痛や首痛、さらには猫背までもが解消される方が大勢います。
猫背は一日にしてならず
最近ではテレワークも進み、ノートパソコンを使用する人が非常に多いです。
ノートパソコンを触る姿勢が猫背になっている人はカフェでよく見かけます。
猫背を防ぐには、自宅か会社で外付けのモニターとキーボードを使って、目線の高さに画面がくる姿勢で仕事をしてください。
また、直接床に座るときも要注意です。
両膝を抱えたいわゆる「体育座り」のような座り方では背骨が確実に丸まります。
床に直接座るなら正座がベストです。
猫背による頭痛・首痛でお悩みの方はこちら⇒